人間は自分たちの生活のために自然を過剰搾取し、破壊し続けてきた。
人間の生活はどんどん快適になる一方、地球はどんどん悲鳴を上げている。その声はどんどんどんどん大きくなり、そう遠くない将来に、かすれて出なくなるかもしれない。もう誰にも止められないだろう。
ナウシカの1シーンである攻撃色オームの大行進はそのことを示唆しているし、レイチェル・カーソンはもう70年も前から警鐘を鳴らしていた。ほとんどの人は、そのことに気付いている。ただ、実感がわかないだろうし、何か行動に移してはいないだろう。かくいう僕も、行動に移せない一人。
でも、この海には自然と共存している人間がいた。
海を育てる人がここにはいた。
元々タイ国の海でガイドとして活躍していたクマさん。
震災の知らせを受けて、テレビを見ると自分が生まれ育った町が海に飲みこまれていた、と。すぐさま帰国し、地元に戻り、NPO法人三陸ボランティアダイバーズを立ち上げ、復興のために尽力されてきた。ガイド業と並行していまも海中の瓦礫を撤去し続けている。そして、震災後壊滅状態だった海中を、地道に掃除し、なくなってしまった海藻・海草を再生させてきた。
海洋生物にとって海藻・海草は、身を隠す家であり、食糧であり、子供を育てるゆりかご。
それを突如なくした海はバランスを失いグラグラと不安定な状態になり、偏った生物が異常発生してしまったと。
そのアンバランスな海に、地道にコツコツと手を加えることで、少しづつゆりかごが戻ってきた。それに伴って、住人も戻ってきたという。
駆除したウニに群がるアイナメのメスたち。
節操なく餌付けされた沖縄の魚みたいにダイバーが近寄った途端にわらわら集まってくる感じじゃなくて、自然の生き物との距離感と節度を保って接している感じ。
アイナメをはじめ、海藻に卵を産みつける魚たちにとっても海藻の森はなくてはならない環境。
繁茂するアマモ。
コンブやワカメのように根っこがないものが「海藻」。
このアマモのように根っこを張るものが「海草」。
壊滅状態だったということが信じられないくらい生い茂ったアマモの森に、カマスの子供たちが身を隠していた。
アマモの森を泳ぐウミタナゴの群れ。
人間は自然に手を加え、搾取と破壊を繰り返してきた。でも、人間が手を加えることで再生する自然もあるという事を学んだ。気の遠くなるような地道な作業ではあるけれど、一人の人間の地道な努力で、見事に再生した海草の森とそこに暮らす生き物たちを見た。一人の人間が本気になって活動し続けたら、自然は蘇るということをクマさんは証明してくれた。
地球の悲鳴は止められるのかもしれない。
そんな希望の光さえも感じた1本でした。
僕も出来ることからやっていこう。
伸でした(@^^)/~~~