皆さんは心霊や妖怪の類は信じますか?
中には霊が見える、という方もいらっしゃるでしょう。
僕はと言うと、そういった話やスポットは大変苦手で、大概ギャーギャー言うてビビりまくってます。
今回はそんな話を。
苦手な方はこの先は読まないでください。
ご存じだろうか、ティーダの店内にある、この鉄製の引き出しの存在を。
レトロな雰囲気を醸し出すこの引き出し。生産されたのはかなり昔なのではないかと思う。
中には様々な重要書類が収納されている。
ちなみに言うと、この引き出し、シャッターが下りて鍵を掛けられるようになっている。この機能は実はあまり知られていないし使われることもない。
と、ここまで引き出しにスポットを当てて話を進めているのだけど、話の主役は、実は引き出しではない。これは、この引き出しを舞台に巻き起こる、奇跡体験、心霊体験、妖怪変化もぶっとばし雲のマシンで今日も翔ぶのさ、という実体験。予め断っておくが、シャッター機能のくだりは、この話に一切無関係である。ちょっと紹介してみただけである。
さて、話に戻ろう。
6月に入って一気に夏らしくなり、気温が急上昇したため店内に扇風機を設置した。この日はエアコンを使うまでの暑さではなかったものの、きっとすぐに必要になるであろうことは明確だった。ならば、ついでにエアコンのリモコンも用意しておこう、となるのは必然。昨年夏以来姿を見ていないが、およその目星は付いていた。さして難度の高い作業ではない、と高を括っていた。
ここから、まさかあんな事が起ころうとは、この時は知る由もない。
おぼろげな記憶をたどりながら、さっそく本命の鉄の引き出しを開け捜索を始める。
一段、一段、順番に引き出していく。
奥行きはさほどないし、高さも低いため、物が積み重なってしまう事もない。しかも今回の捜索物は比較的大型のものだったはずだ。見落とすはずがない。
重要な備品が詰め込まれている棚を、テンポよく次々と開けていく。
ない、ない、ない、、、、。
全ての引き出しを確認し終え、本命の場所にないことに落胆する。
こうなると、こういった探し物は少し厄介だ。記憶の中で思い当たる保管場所がないため、捜索範囲を広げなければならないし、自分以外の関係者の記憶を探る必要もでてきた。
まずは電話を手に取り、関係者二人に確認する。二人の記憶もやはり僕と同様この鉄の引き出しの中だろう、との事だった。ここ以外に思い当たる場所がない、という点も3人共に同意見であった。ますます厄介な事になってきた。先ほどまで穏やかな海面のようだった僕の心に、ざわざわとさざ波が起こり暗雲が立ち込めた。
こうなると、徹底的に店内をくまなく探すよりほかない。絶対にこんな場所にあるはずもない、という所から発見されるのが探し物の常である。困難な作業になることが予想されたが、腹をくくり気合を入れる。さながら、犯人逮捕の手掛かりとなる重要な証拠を探す刑事にでもなったかのような心持になり、責任感が芽生えていた。
「絶対に探し出してやる。」
いつの間にか窓からさす昼の光は消え、外はどうやら雨が降りだしたようだ。
後編へ続く。
アガサ・クリスしん
でした(@^^)/~~~