先日(7/22)、方座浦に行った時の事。
1本目はお馴染みの「ギャチ」。
クダゴンベや、タツノイトコに会って、
オオモンカエルアンコウにも会って、ボチボチ水深を上げていこうかなと、ブイロープ横の根を上がり、クマノミのペアが居ついているイソギンチャクへ立ち寄り、「尾びれに注目!白がメスで黄色がオスだよ~」なんて紹介していたところ、、、、、おやっ!!!!!
丸く被覆状に広がるのが通常のイソギンチャクの状態ですが、上の写真では左下の1/4程がえぐりとられたように縮んでいます。
これ実は、クマノミがイソギンチャクを刺激して縮ませているんです。この写真では尾びれ白のメスがイソギンチャクを噛んでいるところ。
で、なぜイソギンチャクを縮ませる必要があるのかと言いますと、クマノミは粘膜に毒をもつイソギンチャクに耐性があり、普段はイソギンチャクに守ってもらっているのですが、この時ばかりはやや邪魔に感じているようで、スペースを作るためにせっせと噛んで縮ませるんです。
その「スペース」とは、卵を産み付けるための場所、産卵床(さんらんしょう)。
クマノミの下のピンクっぽいところが産卵床です。
そして、「この時」とは、産卵時です。
産卵床の掃除と、イソギンチャクを縮ませスペース作りができたところで、産卵を始めます。
メスが卵を産み付け、オスが受精させていく。排卵→受精→イソギンチャクへの刺激→周囲他の生物への威嚇、という一連の行動を、オスメスが素晴らしいコンビネーションを見せながら行っていきます。
産卵開始から産み終えるまでは40~50分程。
限られた季節の、限られたタイミングにしか出会うことのできない貴重な生態シーン。
野生生物の命の営み。生命の煌めきです。
産み立ての卵は、ルビーのように深紅の輝きを見せてくれます。
水温により前後しますが、8~12日ほどでハッチアウト(孵化)を迎えます。
その間、外敵から卵を守り、コケが付かないように掃除をし、鰭で扇ぎ水を送り続けます。
親が子を守り育てる姿は、やはり心に刺さるものがありますね。
この日は、良いシーンに出会えたことに感謝し、エールを送ってその場を後にしました。
産卵に立ち会った日の6日後、再度ギャチを訪れる機会がありました。水温から考えるとハッチアウトのタイミングはまだ先になる事は明確でしたので、卵の状態は目ができて、お腹がピンクで、キラキラしてきたころかな、という予想の元、卵たちの成長度合いを観察しに行こうと意気込んで向かいました。
しかし、そこに卵の姿はありませんでした。
跡形もなく消え去っていました。
クマノミは卵が危機的状況に陥ると、自ら卵を食べてしまう事があります。
他人に食べられるくらいなら、自分の栄養にしよう、というのが理由です。
近くにタコの巣があることを考えると、卵がタコに襲われた事が原因で、自ら食べたか、タコに食べられたか、、、。
可能性からの推測はできますが、真実はわかりません。
自然は厳しい。
時に残酷なシーンを目の当たりにすることもある。
だからこそ、生きるありがたみを感じられる。
海に優しくすることができる。
そんな事を改めて感じたのでした。
地球はいつもドラマチックだ。
伸でした(@^^)/~~~